平成二十八年大相撲一月場所・千秋楽感想。

・今年の初場所が…終わった!!10年振りの「日本出身力士」の幕内最高優勝で幕を下ろすとは思いませんでした。おめでとう琴奨菊!!


・琴奨菊の優勝が巷を騒がせでおりますが、実は今場所は序の口の琴鎌谷から序二段の魁渡、三段目の千代の海、幕下の栃丸、十両の英乃海と来て幕内の琴奨菊と。全ての段で全員日本出身力士が優勝したという…コレは12年半振りになるそうです!!


・叫ばれまくってきた「日本出身力士」というフレーズについて。拘り過ぎだとか様々な意見があって、確かに国籍に制限がある訳でも無いし、日本の国技でも寧ろ国外から相撲に魅力を感じて角界入りし、頂点を極める人達が居るなんて寧ろ誇らしいと思います。でもまぁ、10年も覇権握られっ放しって状況は長い事相撲見てると「日本出身力士いい加減にしろ」って言いたくもなるんですよ…(苦笑)。まぁ、コレで日本出身力士とか無闇に拘る必要も無くなったね!!


・「日本出身力士」については日本出身力士のファンも歯痒い思いをしてきたし、外国出身力士のファンだって同じような…若しくは、もっと歯痒い思いをしてきたと思うんです。筆者も日馬富士ファンなので…とは言え稀勢の里いい加減にしろ!!って思ったりもしたしなぁ…今場所は琴奨菊が締めてくれたから、いっか!!


・中入り後の取組で光ったのは、新入幕の正代!!巨漢・臥牙丸を寄り切って十勝五敗で堂々の敢闘賞受賞!!また楽しみな若手が幕内に増えましたなぁ。逆に今場所は琴奨菊との絡みで一躍注目を浴びた豊ノ島が殊勲賞を受賞。実はベテランが頑張り過ぎてて関取の「高齢化」問題なんて話もあったりします。公傷制度が無くなってからも、各力士は生き残りをかけて日々精進しているんですね。


・只、公傷制度の廃止により無理を押して怪我を抱えたまま土俵に登り続け、思うような相撲が取れないまま引退に至るケースもあるので…公傷制度をハードルを上げるとかするなりして復活させないといけないとは思います。今場所引退を表明した土佐豊なんて「怪我に泣かされた」力士の一人だし。将来が楽しみな力士で言えば遠藤であったり、照ノ富士であったり。多少の無理をしてもって姿勢は感動を呼ぶ事もありますが、現役で居られる寿命を縮めてしまう諸刃の剣でもあるんですよね。遠藤・照ノ富士共に万全に治るまでは休ませて欲しいな-。「休む勇気」については栃ノ心が実例を作りましたから。「休む」という選択も大切だし、公傷制度の見直しについてもしっかり協議して欲しいです。


・怪我と言えば、小結の勢。場所の途中で痛めた左足が明らかに「ダメダメ休め休め」って状況なのに…千秋楽まで相撲を取り続けましたね。五勝十敗という成績に終わり、来場所は平幕から出直しになりますが左足やっちゃってからよく五勝も出来たな!!と思います。今場所は今場所として、来場所へ響かないかがホント心配!!


・平幕で好調だった豪風は十勝五敗。高安は十一勝四敗で、三賞では…無い!!豪風は候補に上がったみたいですけどね。高安は中盤~終盤戦に掛けての失速が響いたんだろうなー。来場所の活躍にも期待!!


・小結・関脇で勝ち越したのは西関脇の嘉風のみ。良く言えば群雄割拠。悪く言えば役力士の価値が問われる、という結果と相成りなした。おそらく嘉風は東の関脇になり、東の関脇栃煌山が一つの負け越しで西関脇になって。勢と栃ノ心の両小結は黒星先行し過ぎてるから平幕から出直しですね。そんで、来場所の役力士見てもやっぱ実力的には団子状態って印象になりそう。


・平幕も三役も、明らかに抜きん出る関取ってのが居ないんですよね。栃煌山は一時は大関取りの声も上がったけど…ご覧の通り。年齢を感じさせない活躍を見せる嘉風ももう一声無いと大きな話題にはならないだろうし。今場所殊勲賞を受賞した豊ノ島も三役復帰は果たせてもその先を望めるような身体では無いしね。宝富士、高安、妙義龍あたりはいい加減一皮剥けてもらわないと。勢は怪我が残念過ぎる!!しっっっっかり治してから土俵に上って欲しいです。栃ノ心は「よくカムバックしたけど、結局ここまで」って空気を払拭したい所。逸ノ城はあんな調子なので、照ノ富士が復帰してからの怪力対決にも期待したいですね。照ノ富士は膝も肩もやっちゃってんだから、大関から落ちようがなんだろうが、万全の身体になってから帰って来い!!把瑠都の二の舞はごめんだぞ!!兄弟子の横綱日馬富士が綱張れてる内に怪我治して欲しいです。誰もが認める大器なだけに怪我に泣くってのは勘弁して欲しいです。怪我の全快は勿論、公傷制度等の見直しは急務ですね。土俵に上っている以上、何かしらの故障を抱えているってのは当然だけど、それでもどうしようもない事態は起こり得るのだから…。


・今日の日本人大関。琴奨菊と豪栄道の直接対決は、琴奨菊の完勝!!自力の差ですね。琴奨菊の勝利は目出度いものの、「大関同士」の熱戦にならなかったのは残念でした。豪栄道は来場所が御当地場所になりますが、執念のカド番脱出なんて考えずに大人しく関脇に落ちた方が本人の為だと思います。ロクに二桁勝てない上にカド番と脱出を繰り返すようではとても大関の器ではない。稀勢の里は横綱鶴竜を事も無げに寄り切り!!まさか琴奨菊に優勝で先を越されてしまった大関は今、何を思う…。


・今場所は文字通り「牙城を崩された」三横綱。とりわけ白鵬の衰えが如実になって来た印象。只「衰え」の一言で片付けるには納得の行かない相撲が多い終盤戦でしたね。憶測ですが、白鵬の中では「二敗したらその場所は終わり」みたいな個人ルールを決めてそうです。悪くても毎場所十二、十三勝はコンスタントに重ねられますから。効率を優先しに掛かってるのかなーって思いました。今日の相撲なんて勝った日馬富士が困惑の表情を浮かべてしまうほど呆気無かったしね。舞の海秀平が調子に乗って白鵬引退説とか流布しそうですが、平成の大横綱はそうそう引退するタマではない事は誰しもが分かっている筈。浮かれてるとまた白鵬がドヤ顔で優勝掻っ攫うんだろうなーって思ってます。確かに衰えはあるだろうけど、それはそれで対応してくるのが白鵬という横綱。浮かれたファンが白鵬の欠陥を根掘り葉掘り探ってる間に、白鵬自身は来場所へと切り替えているでしょう。少なくとも照ノ富士が横綱になるまでは引退はしないんじゃないかな?伸びしろを考慮すれば現三横綱全ての上位互換となれる万全の照ノ富士との相撲は、白鵬にとって既に特別な物になっている筈です。悪く言えば、それまでは省エネでやり過ごすだろうし、それを許す周りが悪いとも言えますよね。優勝が掛かっていれば千秋楽での日馬富士との一番は白鵬にとって楽しみでしかない相撲にも成りうる訳で、そう言った意味では日馬富士もまだまだ力強く綱張らないといけませんよね。松鳳山戦のポカはともかく、鶴竜戦はマジポカだったよなぁ、ホント。


・何はともあれ「10年」、また「日本出身力士」という呪縛から解き放ってくれた琴奨菊。ありがとう!!そして初優勝、おめでとう!!毎場所毎場所「満身創痍ながら」って前置きと「勝つ時はとにかく連勝するけど」みたいな事ばっかり書いてたもん。大関陣で引き出しが一番少なくて、大関陣で一番優勝への望みが薄くて、本場所の度に終盤戦では蚊帳の外へ追いやられる事ばかりで。会心の相撲を取る度に「いつもこういう相撲を取れれば…」って思うだけでした。


・でも、今場所は「こういう相撲」を取り続け、十中八九の相撲ファンが予想だにしていなかった幕内最高優勝を、大関琴奨菊は成し遂げました!!「左を差してがぶり寄る」だけの相撲ですが、左を活かす為に右腕の動きも改良を加える等、工夫も惜しみませんでした。今場所、時間一杯で両腕を広げ胸を反らし、吊り屋根へ高く塩を撒くルーティンは只のパフォーマンスではなく「優勝への期待」へと胸を膨らませるモノへと進化しました。終盤戦での黒星もあり、もつれながらも十四日目のラジオ中継の北の富士勝昭さんの解説の中でコメントしていた「明日は、美味い酒が呑みたいねぇ」という希望に見事、応えました!!


・良い事ばかりではなかったのが2016年の初場所。怪我やインフルエンザにより休場力士も相次ぎました。場所中のアクシデントによる休場もあれば、遠藤や照ノ富士のような以前から懸念されていた怪我の悪化や他の箇所の故障による休場もありました。前述の通り、協議すべき事項です。また、審判団の物言いのタイミングであったり、不可解な「協議の結果」も後味の悪さが残りました。十四日目での伊勢ヶ濱部屋の力士よりな判定は印象深く残っていますが、大きかったのは隠岐の海-豊ノ島戦。その影響は後に優勝争いへ伝播し、結果的に「琴奨菊と豊ノ島」のライバル関係で「いい話」に着地していますが。アレが無ければ隠岐の海は今場所十一勝以上の結果を残していたかもしれません。優勝争いに絡んでいたかもしれないし、また別の「ドラマ」が生まれていたかもしれません。審判については「日本出身力士の活躍」以上に根深い問題があるのでは…と思いました。伊勢ヶ濱も大概だったけど、場所通して見ると逆鉾は頂けないよなぁ、ホント。


・色々あったけど、琴奨菊が優勝して全て良し!!…って話ではありませんし、ソレは相撲が好きな力士、親方、協会関係者、そして相撲ファン。皆が分かっている事ですよね。今夜ばかりは琴奨菊へ向けて、皆で美酒を傾けましょう!!大相撲と美酒を堪能したら、巡業と次の本場所だよ!!


・未だに八百長だなんだって騒ぐ馬鹿が多いんですけどね。ヤオ仕掛けるなら、もっと上手くやるだろう!!日本出身力士の優勝の為の八百長であるなら…とっくの昔にやってるでしょう。10年も待つ馬鹿がヤオ仕掛けた所で門前払いじゃないの?つーか八百長以前に白鵬の失速は謎が深まるばかりだし、そっち心配しなよ、と。個人的には前述の通りやる気スイッチの切替にメリハリが付いたのかなって感じですねー。そんで負け慣れてないだけに手の抜き方がよく分かってないんだろうなーって思います。来場所は秀平への当て付けで優勝するでしょう。


・次の本場所となる大阪場所。琴奨菊の綱取りも話題には上るでしょう。するかしないかって聞かれたらする方を選ばないとそのまわしは何で締めてんだって話だし、真価を示しに琴奨菊は臨むでしょうし。三横綱は文字通り褌締め直して大阪へ乗り込むでしょうね。横綱のみならず大関も本格的に優勝を争うなら、見る方だって望む所だ!!


・来場所も、大相撲に期待!!!




0コメント

  • 1000 / 1000